・・・もう乱馬の顔も見たくない・・・・


そう言いながら、あかねが遠くへと歩いていく・・・・





「あかね!!」



ガバッと跳ね起きる乱馬。






「夢・・・か・・・」



汗をぬぐいながらふ〜とため息をつく・・・


今日は玄馬は出掛けていて、一人で寝ていた乱馬・・・・。




『離して!!あんた、どんだけ無神経なのよ!!!大嫌い!!!』


さっき、夢ではなく、現実にあかねに言われた言葉が頭から離れない・・・・






「いつも怒らせてばかりだな・・・」



そう言いながら、台所へ水を飲みに行こうと部屋を出る乱馬。



「ん??」



台所に人の気配がする。


そ〜っと覗く乱馬。




「えと・・・次は砂糖か・・・」



あかねが何かを作っているようだ。



こんな夜中に何やってんだ・・・??



そう思いながらも、乱馬は中に入りづらく、入り口で少しうろうろしていた。


すると、後ろから服のすそを引っ張られる。




「??」




後ろを向くと、かすみが立っていた。


かすみは無言で手招きして、台所から離れた場所へ乱馬を呼んだ。




「どうしたんです??こんな夜中に・・・」


乱馬が言うと、かすみは少し迷った様子で話し始める。




「実はね・・・あかね、ここのところ、毎日お菓子とか、料理を頑張って練習してるの・・・・」



それを聞いてびっくりする乱馬・・・・




「随分、上手になってきているのよ・・・あかね・・・」



少し微笑んでかすみが言う。







そっか・・・・こんだけ頑張ってるから、あんなに怒ったんだ・・・




反省する乱馬・・・・





「何があったのか分からないけど、仲直りしてね」



かすみはそう言って、部屋に帰っていった。






「・・・・・・・」





少し考え込む乱馬・・・




「よし・・」




そう小さく気合を入れて、台所へ向かう。





「・・・あかね!」



「!!??」




びっくりしてあかねが振り返る。



乱馬を見た瞬間、キッと睨みつけた。



「今は顔も見たくないの・・出てって」




冷たい口調であかねが言った。



「本当に、悪かったよ!!・・・こんなに頑張ってるって思ってなかったから・・・・」



乱馬が少し落ち込んだ感じで言った。





でも、あかねの気持ちはすぐに切り替える事ができず、近くにある物を、乱馬に向けて投げてきた。



「出てって、てば!!」




「ちょっ・・・・やめろって!!」




よけながら乱馬が言う。




「うるさい!!」




あかねは止めようとしない。





ガシッ




「やめろ!!!」


乱馬はあかねの両手首を持って動きを止めた。




動きを止められた瞬間、あかねの目から涙がこぼれる。




「え・・・・??!!あ・・・ちょっと泣くなって!!」




オロオロする乱馬。





「だって・・・・ちょっと・・・は・・・・上手くなった・・・のに・・・・」



泣きながら、あかねが言った。




「乱・・・馬に食べて・・もらおう・・・・と思ったのに・・・・」



ぼろぼろ泣くあかね。


その表情を見て、乱馬がかたまる・・・・




(やべぇ・・・・可愛い・・・・)



胸がドキドキしてくる・・・・




でも、ここで抱きついたら、変に思われる・・・・




「乱・・・馬??」




かたまる乱馬を見て、不思議そうにあかねが上目使いで乱馬を見る。




駄目だ・・・・・!!



ギュッ





「え??」




乱馬は力強く、あかねを抱く。




「乱馬・・・・??・・・」




あかねは真っ赤になっている。





「ごめんな・・・・許してくれるか・・・??」




乱馬はそう言いながら、さらにギュッと抱きしめる。





「も・・もう怒ってないから離して・・・・乱馬!」




恥ずかしそうにあかねが言う。




「・・・・嫌か?・・・俺の事、本当に嫌いなのか??・・・・・・」



乱馬が気になっていた事を聞く。




それを聞いて、ボッと赤くなる、あかね・・・・・



「・・・・嫌いじゃないよ・・・・だから・・・ね?離して・・・・」




あかねは心臓がドキドキしているのを気づかれたくなかった。



「分かった・・・・」




乱馬が離れる。




でも、あかねをじっと見ている。


二人は見つめあったまま、少しの間、立っていた。




「・・・・・」



沈黙が続く・・・・



ギシッ




乱馬が一歩、あかねに近づく・・・・




「!?」





あかねの心臓がはやくなる。



乱馬は自分を抑えきれなくなっていた。





そっとあかねの頬に触れる。



二人の心臓が高鳴る。




少しずつあかねとの距離が縮まる。




もうすぐ乱馬とあかねの唇が触れる。




ドタドタドターーーーー・・・ドーーーン!!





「!!??」





ビックリして二人が振り返ると、家族のみんなが覗いていて、それを帰ってきた玄馬が後ろから押しすぎて倒れたらしい・・・・。








「・・・・・・・な・・・・・なにやってんだーーーー!!」



真っ赤になりながら、乱馬が玄馬を追いかける。





「ちっもう少しだったのに・・・・」



なびきがそう言いながら部屋に帰る。





「本当に、奥手なんだから〜・・・・」




かすみも部屋へと戻る。





「あかね・・・・お父さんは嬉しいよ・・・・」




泣きながら、あかねの父が言う。






「もーーーーーー!!そんなんじゃないんだから!!」




あかねは真っ赤になりながら、部屋へとドタドタと帰っていった。







「もう少しだったのに・・・・・」





二人はそれぞれ、心の中でそう思いながら、眠りについた。










(終)