乱馬はあかねの前に黙って座ったまま、時々あかねを見つめる。


あかねはうつむいたまま、床を見つめていた。



その時、ふいに乱馬の手があかねの頭に触れた。



「・・・乱馬??・・・」



顔を上げると、乱馬が優しく微笑む。



「あんま気にすんなよ・・・何があったのか知らねえけど・・・・」




そう言って、乱馬は手であかねの頭を軽くポンポンと撫でる。




「・・・乱馬・・・」





泣きそうになるのを我慢して、あかねは乱馬に勢いよく抱きついた。




「うわっ・・・おい・・・・」




乱馬は少し驚いて、あかねを見ると胸にギュッとしがみついたまま、あかねは動こうとしない。




それを見て、乱馬は黙ったまま、しがみついているあかねをゆっくりと優しく抱きしめた。




トクン・・・トクン・・・・




あかねの鼓動を感じる。あかねの匂いも、温かさも感じる・・・。





それを感じながら抱きしめる手に力が入る。





「・・・乱馬・・・苦しい・・・」




あかねが顔を上げると、乱馬はあかねの目を見てそのまま見つめる。





「・・・・あの・・・・もう大丈夫だから・・・」




あかねは少し慌てた様子で、目をそらす。





「そっか・・・・」





乱馬はゆっくりと手を離すと、立ち上がってあかねから離れた。




「じゃあ、俺・・・部屋に帰るから・・・」




乱馬はそのまま、ドアのノブに手をかけて、部屋を出る。




パタン・・・




部屋を出るとすぐに乱馬は、ドアを背にして座り込む。




「はあ・・・」




そして、自分の両手を見ながら、少し大きな溜息をついた。





何だか最近、あかねに対する気持ちが変わってきているような気がする・・・。




触れたい・・・もっとあかねを知りたい・・・・。





こんな事、あまり今までは考えたことがなかった・・・。




まあ、年齢的にもこういう事に興味をもつのは当たり前だけど、それだけじゃない気がする・・・・。




ただ、触れたいだけじゃない・・・大事にしたい・・・って感じる。





でも、そういう気持ちを素直に出せないのは、全然変わってなくて、あかねをわざと怒らせてしまう。




「まだ、ガキだな・・・俺も・・・」




そうボソッと言うと、立ち上がってあかねの部屋を離れようとしたとき、ガチャっとドアが開いた。




「・・あ・・・わりぃ、ちょっと考え事してて・・・」





乱馬は少しビックリしているあかねにそう言うと、自分の部屋へと向かう。




「・・・待って・・・!」




あかねの声に足を止める乱馬。




「どうした??」




乱馬は振り向いて、あかねを見る。





あかねは黙って、うつむいたまま、自分の服をギュッと握りしめていた。




「あかね・・・?」





乱馬が近づくと、あかねの顔がどんどんと赤くなる。







それを見て乱馬はあかねの腕を持って引っ張ると、あかねの部屋に入ってドアを閉める。





「・・・あのな・・・そんな顔してたら勘違いするぞ・・・」





乱馬は腕を掴んだまま、あかねを自分の方に向かせると、そう言って顔を近づける。





「・・・・いいよ・・・・」





あかねはそうつぶやいた。





「ん・・・」





あかねの言葉を聞いて、乱馬が唇を重ねる。





心臓がバクバクいっているのが分かるくらい、緊張してるのが分かる。





柔らかい感触と緊張で頭がクラクラする。




乱馬はそれでも、あかねの唇を包み込むように、触れ続けた。




「・・・ら・・・ん・・ま」





唇から漏れたあかねの声に、ハッとする。






乱馬はあかねから離れると、ペタンと座り込んだ。





「・・・ごめん・・・」





乱馬はそう言うと、くしゃくしゃっと自分の頭を掻いた。




「・・・何であやまるの・・・・?」




あかねが座り込んだ乱馬の前に、しゃがみ込む。





「だって・・・いきなりキスしちまったし・・・」




少し恥ずかしそうに乱馬が言った。





「私は・・・嫌じゃないよ・・・・」




あかねはそう言って、恥ずかしそうに微笑んだ。





「・・・・・・・バカ・・・・そんなこと言うな!」





乱馬はますます真っ赤になって、あかねに背を向けた。









(続く)