授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る。



「よし・・・と」



乱馬は、うーんと伸びをするとカバンに教科書を入れる。



「乱馬!お前、進路どうするんだ?」



友達の大介が進路の用紙を持って聞いてきた。




「さあ・・・まだ決めてないけど・・・」




乱馬はそう言いながら、席を立つ。




「おい!もう明後日までに出さないといけないんだぞ・・・」




教室を出ようとする乱馬に大介が言った。




「分かってるよ・・・」



乱馬はひらひらと手を振りながら、教室を出る。



「はあ・・・・」




歩きながら、少し溜息をつく。




高校を卒業するまで1年をきった。




みんなが自分の進む道を決め始めている。





「どうすっかな・・・・」




乱馬はぼそっとつぶやくと、靴を履いて家へと向かった。




道場を継ぐっていっても、生活の事を考えると、仕事もしないといけないだろうし・・・。




あかねにも迷惑かけられないし・・・・。




そう思った瞬間、カーッと赤くなる。




何で、あかねが出てくるんだよ・・・まだ結婚するって決まった訳じゃないし・・・。



・・・・・・・。



でも、ちゃんと仕事は探さないとだな・・・・。




乱馬は、また溜息をつくと玄関の戸を開けて、自分の部屋へ入る。




ドサ・・・




カバンを床に置くと、壁にもたれるように座る。




俺のしたいこと・・・って何だ・・・。



乱馬は足を抱えて、顔を伏せる。





「ただいま」




少しして、玄関からあかねの声が聞こえた。




「あれ・・・乱馬、帰ってるんだ」




玄関にある靴を見て、乱馬の部屋をチラッと見ると、2階へと上がり自分の部屋へと向かう。




あかねはもう決めてんのかな・・・・。




2階に上がる足音を聞きながら、ゴロンと寝転がった。




「俺は格闘以外、何にもないしな・・・」




・・・・・・。




何か落ち込む・・・・。




乱馬はバッと起きあがると、部屋を出て台所に向かった。





冷蔵庫からお茶を出すと、それをコップに注いで、一気に飲み干す。




トントン・・・・




2階からあかねが下りてくる足音に、乱馬は少し動きが止まる。





「あ・・・乱馬、早かったんだね」




台所に乱馬の姿を見つけて、あかねが声をかける。




「あ・・・ああ・・・」




乱馬は流しにコップを持っていくと、洗って台所を出ようとする。




「あっ乱馬!進路の用紙、出した??みんな、ほとんど出したみたいよ」




すれ違いざまに、あかねは乱馬に言った。




「分かってるよ!うるせーな!」




思わずカッとなり、乱馬が怒鳴る。




「あ・・・・悪かった・・・・」




怒鳴った後に、すぐにハッとして、乱馬は謝ると、部屋へと慌てて入っていった。




「はあ・・・・」




何やってんだ俺は・・・。




答えが見つからなくてイライラしている気持ちを、あかねにぶつけてしまった・・・・。



「ただの八つ当たりじゃねえか・・・・」




乱馬は自分の顔をバキッと殴ると、座り込んで頭を抱えた。




「あの・・・乱馬・・・・」





部屋の外から、あかねが声をかける。




「ごめんね・・・・何か・・・・」




あかねが言葉を詰まらせる。




そして、部屋から離れていくあかねの足音。




ガラ・・・




「ばかっ!お前は悪くねえよ!」





乱馬は戸を勢いよく開けると、あかねの手をとった。





「乱馬・・・・?」




驚いた表情で、あかねは乱馬を見た。




「お前は悪くねえよ・・・・」




そう言って、乱馬はあかねの手を握ったまま、顔を伏せた。








(続く)