夕日がもうすぐ沈みかけている夕暮れ。


夕日を背に並んで歩く二人。



「ねえ・・・」


あかねが乱馬にふいに話しかける。



「ん??何だ?」



乱馬が軽く伸びをしながら、あかねを見る。



「乱馬は髪が長い女の人が好み?」


「え??何だって?」


予想もしなかった問いかけに思わず、聞き返す乱馬。



「だから・・・髪が長い方が好きかって聞いてるの!」



あかねが恥ずかしそうに言った。




「そうだな・・・俺はどっちでもいいけど・・・何で?」




少し前を行くあかねの髪をチラッと見ながら、乱馬が聞いた。




「別にっ・・・ただ聞いてみただけ」




あかねが髪に触りながら、歩く速度を少し上げる。




「おいっ!何なんだよ。気になるだろ!」



乱馬があかねを追いかけて、肩を持って止める。




肩を持たれて止まるあかね。少し考えた後に顔を上げて、乱馬を見て言った。



「・・・・だって、みんな長いじゃない・・・」




「は??」




急にそう言われて、乱馬が少し顔をしかめながら、あかねを見ている。




「だから・・・シャンプーも右京も長いでしょ・・・」



あかねは乱馬の表情を見て、少しブスッとしながら言った。




「長い・・・??・・・ああっ髪か?」



やっとわかった様子の乱馬。



「でも、それが何なんだよ・・・」



しかし、結局その言葉の意味がわからず乱馬は自分の腕を組みながら、あかねに聞いた。




「だから・・・・・・長い方が好きなのかなって思っただけ!」




あかねはそう言うと、ふいっと前を向いて、歩き始める。



それを見て、乱馬は少し何かを考えて、ニッと笑う。




シュタッ





「きゃっ・・・!」




急に自分の目の前に立った乱馬にびっくりするあかね。




「何よ!びっくりするじゃない!」




あかねがボッと赤くなる。




「俺は短い方が好きだぜ」



乱馬がニッと笑って言った。



「え・・・」




あかねがますます赤くなる。




ブハッ




その時、乱馬が吹き出すように笑い始める。




「何だ、お前・・・やっぱりそう言ってほしかったのか??」




そう言って、乱馬があかねをからかう。





「もう!!・・・知らない!!」



それを聞いて、あかねは耳まで真っ赤にしながら、ズンズンと歩き始める。



「ちょっと・・・待てって・・・!」



やばい!・・・からかいすぎた・・・そう思って、乱馬は後を追いかける。



「ついてこないで!」



あかねはついてくる乱馬にブンブンと自分の鞄を振り回す。



それを器用に避けながら、乱馬があかねに近づく。



そして、あかねの顔に自分の顔を近づける。




「何よ!!」


あかねがキッと睨んだ。



「やっぱ、お前は短い方が似合うな・・・」



さっきの表情とは変わって、優しく乱馬が笑った。




「・・・・何よっ!・・・からかわないでよ・・・」



あかねが下を向いて、持っている鞄をギュッと握りしめる。



あかねは下を向いたまま、乱馬の靴をじっと見ていた。



その足が自分から離れていく。



思わず顔を上げるあかね。そして、離れた方向を見る。




「ったく・・・暗くなる前に帰るぞ!」




振り向いた瞬間に、乱馬にそう言われて、手をとられる。




手首をもたれたまま、乱馬に連れて行かれるように、家路につくあかね。




その手は、いつの間にか手首から、手に移動して、乱馬はあかねの手をきゅっと握った。




そのまま歩き続ける二人。




「・・・・さっきの言葉、本当だからな・・・」




家の前に着くと、乱馬がぼそっとあかねに言って、握っていたあかねの手をパッと離して、先に家へと入っていった。




「え・・・乱馬・・・?」




そう言ったときには、乱馬は家の中に入ってしまい、姿が見えなくなっていた。



「もう・・・ハッキリしないんだから・・・」



そう文句を言いながらも、握られていた手を無意識に頬にあてて、嬉しそうに微笑むあかね。




そして、あかねは乱馬を追いかけるように家の中へと入っていった。












(終わり)