誰もいない職員室で、乱馬がボーっとして椅子に座ったまま、沈んでいく夕日を見つめる。


ピピピ・・・


突然鳴る携帯にビクッとして、慌ててカバンから携帯を出す。



「はい・・・」




「ああ・・・先日はどうも。どうしたんですか・・・?」




「そうですか・・・分かりました」



少し話をして、電話を切ると乱馬は校長室へと向かった。



「・・・失礼しました・・・」



校長と話を終えると、また職員室へと向かって椅子に座った。



「よかった・・・」



そう一言つぶやくと、荷物を整理して職員室を出た。



学校を出て家へと向かっていると、いつの間にかあかねの家へと向かっていた。



家の前に着くと、足を止めて、家をゆっくりと見渡しながら何かを言いかけてキュッと唇を噛む。




そして月曜日。


教壇には乱馬の姿はなかった。


病院から退院したと笑顔で話している担任の先生を、ただ呆然と見つめるあかね。



ガタ・・・



急にあかねが立ち上がる。



「どうした?天道・・・」



「あの・・・早乙女先生は・・・」



あかねが少し聞きづらそうに目を伏せて聞いた。




「ああ・・・授業も始まるし、休憩時間に職員室に来てくれるか?」



そう笑顔で答える先生。



「あ・・・はい。すみません・・・」



あかねは椅子に座ると、ふーっと息を吐いた。




ガラ・・・




「失礼します・・・」



職員室に入ると、あかねはお弁当を食べている先生の傍に立つ。



「あ・・・食事中にすみません・・・」



あかねが話しかけると、先生はニコッと笑ってあかねの方を向く。



「ああ・・・早乙女の事だけど・・・あいつなら今は家に戻ってるよ」



「家ですか・・・??・・・」



「ああ・・・家を継がないといけないとかで教師を辞めてたのを今回、無理言って頼んでたんだ・・・」



先生はそう言って、何やらメモ用紙に書くと、それをあかねに渡す。



「道場・・・?」



その名前を見て、あかねが少し驚く。



そこには道場の名前と、連絡先が書いてあった。



「あいつの家は道場でね。早乙女はたいした腕前だぞ」



先生は少し得意気に話す。



「会いに行ってやれよ」




そしてニッと笑って、あかねに言った。



「な・・・そんなつもりで聞いたんじゃ・・・」



一気に赤くなるあかね。



「天道、わかりやすいな・・・」



ますます笑う先生。




「本当に違いますから!」



そう言って、メモ用紙を先生に渡す。



「いらないの・・・・?本当に・・・?」



「いりません!!」



あかねは真っ赤になったまま、職員室を出る。




「素直じゃないな・・・・まあ、あいつもか・・・」



出て行くあかねを見ながら、先生がクスッと笑う。



すると、すぐにあかねがまた戻ってきて、手を差し出した。



「どうした?天道・・・」



少しからかうように先生が聞く。



赤くなったまま黙るあかね。



それを見た、先生はあかねの出された手に、メモ用紙を置く。



その瞬間、あかねが顔を上げて先生を見ると、先生が優しく微笑む。




「ありがとうございます・・・」



あかねはペコッとおじぎをすると、足早に教室へと帰っていった。



「どうなるかな・・・・」



先生はそうつぶやくと頬杖をついて、微笑む。







(続く)