気持ちが重いまま、学校へと向かう乱馬。 会いたい・・・その気持ちが何なのか考えても答えが出なかった。 「ふあ・・・」 あまり眠れなかったせいか、あくびが出る。 「先生!どうしたの?あくびなんかして・・・何かあったの〜?」 近くにいた生徒達が乱馬の顔を覗き込みながら、からかうように笑う。 「こらっ!お前ら、早く行けよ」 「はーい!」 乱馬にそう言われ、はしゃぎながら校門へと向かう生徒達。 「ったく・・・」 乱馬は学校に入ると、職員室へと向かう。 「おはようございます」 職員室に入ると、挨拶をして自分の席へと座る。 「早乙女!」 聞き慣れた声に振り返ると、乱馬に担任を頼んだ先生が手招きをして呼んでいる。 「あっ・・・・」 乱馬が先生に駆け寄る。 「ちょっと外出許可がでたんでな。どうだ?クラスにも慣れたか?」 「ああ・・・・・・体調は・・・どうなんだ?」 先生の前に座ると、少し心配そうに乱馬が聞いた。 「まあまあかな・・・・・・・。悪かったな急に頼んで。校長にも無理言ってしまって・・・」 校庭を懐かしそうに見ながら、そう言った。 「早く治して戻ってやれよ・・・・」 乱馬はそう言って、優しく微笑む。 「ああ・・・・・それまで頼んだぞ。じゃあ・・・そろそろ帰るよ・・・」 そう言うと先生は立ち上がる。 「また、病院の方にも行くよ」 乱馬はそう言って職員室のドアまでついていき見送ると、また自分の席へと座る。 ガラッ 「・・・失礼します」 その声に一瞬ビクッと体が反応する乱馬。 近づいてくる足音に、慌てて机に荷物を置くと、ゴソゴソと何かを探すふりをする。 「あ・・・おはようございます。今日、日直なのでプリント取りに来ました」 振り返らなくても分かる声に、自分の心臓がはやくなるのを感じる。 「ああ・・・そこに置いてあるから」 まだ探すふりをしながら、横に置いてあるプリントを指さす。 「あ・・・はい」 あかねがプリントをとると、ふわっと良い匂いがする。 「じゃあ・・・持っていきます」 「ああ・・・」 あかねが職員室を出ると、乱馬はすくっと立って、誰もいない資料室へと向かう。 「何なんだ・・・本当に・・・」 資料室に入ると、そう言って頭を抱えて座り込む。 あいつは生徒だ。歳だって違う。 許嫁だって勝手に決められた事だし。 意識する事なんてないんだよ・・・・。 自分に言い聞かせるように、想い始めている気持ちを押し殺す。 違う・・・・。 これはそんな気持ちじゃない。 ギュッと目を閉じると、少ししてスクッと立ち上がる。 「よしっ・・・!」 無理矢理、そう吹っ切ると教室へと向かう。 また、いつもの1日が始まる。 それだけのことだ。 ガラッ 教室のドアを開けると、いつもの様に挨拶をして、出席をとる。 「今日の日直は天道と佐伯だな。今日1日、よろしく。では、HRはこれで終わりだ」 乱馬はそう言って、教室を出て行く。 ドアを閉める瞬間にあかねが乱馬をチラッと見る。 先生・・・・?・・・・ その時の乱馬の表情がとても悲しそうに見えた。 それから、授業を受けていても乱馬の表情が頭から離れない・・・。 「あかね、帰ろ!」 放課後、友達があかねに駆け寄る。 「あ・・・これ書いて出して帰るから、先に帰ってて」 日直の日誌を書きながら、あかねが友達に言った。 「あ、そっか。じゃあ、また月曜日にね!」 「うん。ばいばい」 日誌を書き終えると、職員室へと向かうあかね。 職員室の前に着くと、そっと窓から中を覗く。 そこには頬杖をついて、何か考えている様子の乱馬が見えた。 ガラ・・・・ そっとドアを開くあかね。 その音にビクッとしてあかねを見る乱馬。 少しおじぎをすると、乱馬へと近づく。 「ああ、日直だったな・・・・もらうよ」 あかねが持っている日誌を見て手を差し出す。 「あ、はい」 日誌を乱馬に渡すと、じっと乱馬の顔を見る。 「なんだ?」 乱馬もあかねを見る。 「いえ・・・何だか元気がないように見えたので・・・・」 「そうか・・・別にそんなことないから、気にすんな・・・暗くなる前に気をつけて帰れよ」 乱馬はそう言うと、あかねから受け取った日誌を見始める。 「あ・・・・はい」 あかねは、足早に職員室を出て行った。 やっぱり何か・・・変よね・・・・。 あかねはそう思いながら靴を履いて歩き始める。 でも、今日は結局あまり話せなかったな・・・。 月曜日まで会えないのに・・・・。 はーっとため息をつくと、家へと向かった。 (続く) |