階段に座ったまま、はーっと大きなため息をつく。


「あかね?」


かすみがあかねに気づいて声をかける。



「お姉ちゃん・・・」



その声に顔を上げるあかね。


何故か、かすみの顔を見ると涙が出てくる。



「どうしたの?」



かすみがあかねの前に座ると、優しく頭に触れる。




「お姉ちゃん・・・っ」



あかねはかすみに抱きつくと、子供の様に泣き続ける。




そんなあかねを優しく包み込むかすみ。









「ごめんね・・・お姉ちゃん・・・・」



少しして落ち着くと、涙を拭いながら、かすみから離れて顔を上げるあかね。




「あかね・・・・今の気持ち、大事にしてね」




かすみがニコッと笑う。



「今の気持ち?」



あかねが不思議そうにかすみの顔を見る。




「好きって気持ち」




かすみはそっとあかねの両手をとると、優しく微笑んだ。




そう言われた瞬間、真っ赤になるあかね。




「ちょっと!お姉ちゃん・・・っ!・・・わ・・・私、顔洗ってくる!」




恥ずかしそうにそう言うと、立ち上がって洗面所へと向かう。



かすみはあかねの後ろ姿を見ながら微笑むと、立ち上がって居間へと向かう。




「あら・・・」



かすみが居間へと入ろうとすると、乱馬が出てくる。




「あ・・・ごちそうさまでした」




「もう帰られるんですか?」




かすみが上着を着ている乱馬を見て言った。




「ええ・・・ちょっと用事を思い出したので」




乱馬はそう言うと、かすみと、みんなにペコッとおじぎをして玄関へと向かう。




「先生・・・帰るんですか・・・?」




玄関で靴を履いていると、後ろからあかねの声がする。



ドキ・・・・



「ああ・・・またな」




乱馬はあかねの顔を見ないまま、戸を開けて出て行く。




何なんだ・・・何でこんなに心臓がはやくなるんだよ・・・・。




そう思いながら乱馬は、足早に家へと向かう。




「くそ・・・」




もやもやした気持ちに、乱馬は走り出す。



ガチャ・・・



自分の家に着くと、ソファーへ座って少し考えはじめる。



「あー!!くそっ・・・」



すぐにそう叫ぶと、立ち上がってお風呂場に行ってお湯をためはじめる。




乱馬は蛇口から出るお湯をじっと見つめながら、その場に座り込む。




目を閉じると、さっき見たあかねの泣いていた姿が思い浮かぶ。




かすみに、すがりつくように泣いていたあかねが頭から離れない。




あの時、声を掛けていればこんなにもやもやした気持ちにならなかったのかも・・・・。




でも、声を掛けれる雰囲気でもなかった・・・・。




けど、何で泣いていたんだろう・・・・それがこんなに気になるなら聞いた方が楽だったのかもしれない。




そんなことを考えていると、浴槽から溢れ出そうになっているお湯に気づいて慌てて蛇口を閉める。




はあ・・・・。




蛇口を閉めると、大きなため息が出る。




そして、服を脱いで湯船につかると、パンっと両手で顔を叩く。





「考えてもしょうがないな・・・・」




そうつぶやいて、もう一度大きくため息をつくと、お風呂から出て髪をタオルでふきながらソファーに座る。




そして、テレビをつけて見始める乱馬。





画面を見ながらも内容が頭に入ってこない。考えないようにしようと思っても、あかねの事を考えてしまう。



「・・・・寝るか・・・」



バッと立ち上がり、テレビを切ると寝室へと向かった。






「先生・・・どうしたんだろう・・・」



その頃、あかねも乱馬の事を考えていた。




「顔見てくれなかったし・・・」




ぶつぶつ言いながら、あかねはベッドにもぐり込む。




でも・・・明日、会える。




そう思うと自然と笑みがこぼれる。



好きなのかな・・・・。



好きなんだよね・・・・・。



自分の気持ちを確かめるように、心の中でつぶやく。



明日・・・会える。




乱馬も布団の中で同じ事を考えていた。



会いたい気持ちが大きくなる自分に戸惑っていた。



早く・・・明日になれ・・・・。




そう思って、ギュッと目を閉じた。





(続く)