「ただいま〜」


あかねが玄関の戸を開けると、その後を乱馬もついて入る。


「おかえり。あら・・・先生、どうぞあがってください」



かすみが二人を出迎えると、乱馬と玄関で話し始める。



あかねは自分の荷物を置きに、部屋に向かいながら、乱馬をチラッと見る。



かすみと話している乱馬の顔が何だかとても嬉しそうに見えた。



今日の昼だって、かすみお姉ちゃんの事、美人って言ってたし・・・。



チクッ・・・



何だか胸に突き刺さるような気持ち。



嫌な想いに気づき始めるあかね。



でも、その気持ちを振り払うと、部屋へと走っていった。



走っていくあかねを乱馬がチラッと見る。




「先生・・・あかねはとっても優しい子なんです。どうぞ宜しくお願いします」



そんな乱馬を見て、かすみが頭を下げる。



「ええ・・・教師としてちゃんと生徒の事は考えてますよ」



乱馬はそう答える。




「そうじゃなくて・・・一人の女の子としてです」




かすみは頭を上げると、優しくニコッと笑った。




「え・・・・えと・・・・」




少し恥ずかしそうに赤くなる乱馬。




その時、荷物を置いて部屋から出てきたあかねが、階段の上からそんな二人の様子を見たまま、止まっていた。




先生・・・もしかして・・・かすみお姉ちゃんのこと・・・。



かすみの前で赤くなっている乱馬を見て、胸が締め付けられる。




「あかね。もうすぐ御飯だから早く下りてらっしゃい」




かすみが階段の上に立っているあかねに気づいて、声をかける。




「私・・・いらない・・・・」




あかねはそう言って、自分の部屋へと入っていった。




「どうしたんだ?天道のやつ・・・」



乱馬が心配そうな表情をして、あかねの部屋の方を見つめる。



クスクスッ



かすみは、あかねの行動を見て何かを察したのか、急に笑う。




「え・・・なんですか?」




乱馬が少し驚いて、かすみを見る。




「きっと、やきもちですよ」



「やきもち?天道が??」



乱馬は何も感じていない様子で、不思議そうにかすみに聞いた。




「これ以上は言えません」




ニコッと笑って、かすみは台所へと向かう。




「先生、心配なら様子を見てきてあげてくださいね」




振り返って、そう言うとかすみは台所で御飯の支度を始めた。




乱馬は少し考えると、ゆっくりと階段を上りはじめる。




やきもち??




まさかな・・・。




あかねの部屋の前に立って、声をかけてみる。




「おい・・・天道。御飯だってよ」



「・・・・・・」




返事がない。




「おいっ・・・・開けるぞ」




乱馬が部屋のドアを少し開けて、部屋の中を覗くと真っ暗だった。




「寝てんのか?どっか調子でも悪いのか?」




乱馬が話しかけても、反応がない。




「・・・・大丈夫そうだったら下りてこいよ・・・」




乱馬はそう言ってドアを閉めると、階段を下りる。



かすみの言葉が何だか気になって、階段の途中に座って考え込む乱馬。




何か・・・俺・・・意識してんのか・・・もしかして・・・・。



・・・いや・・・違う・・・あいつは生徒だ・・・。




乱馬はパンッと両手で頬をたたくと、居間へと向かった。









「やっぱり・・・・綺麗な人が好きなのかな・・・・」



その頃、あかねは布団をかぶったまま、そうつぶやく。



1階からは、みんなの笑い声が聞こえる。



その声が気になりながらも、あの二人を見たくない。



そう思いながら、しばらく布団の中で過ごす。



でもやはり気になって、そっと1階へと下りるあかね。




少しずつ居間へと近づくと、乱馬の声が聞こえてくる。



その声にドキッとして足が動かない・・・。




嫌だ・・・何でこんなにドキドキするの!




あかねはまた階段へと戻って、そこに座り込む。




気づかないようにしても、ダメだって気づいてしまった。




そんな自分に戸惑うあかね。




ギュッと両足を抱えて、顔を伏せる。







(続く)