ドタドタ・・・ 勢いよく階段を下りるあかね。 「あーもう!遅刻じゃない」 時計を見て、髪の寝癖をなおしながら、あかねはそのまま玄関へと向かう。 「いってきます!」 靴を急いで履くと、走って学校へと向かう。 「あら・・・あかねちゃん、もう行っちゃったのね」 かすみがあかねの声を聞いて、お弁当を持って玄関に向かった時にはあかねの姿はなかった。 「あーもー完璧に遅刻だ・・・」 途中で腕時計を見て、諦めた様子で走る足を止める。 そのまま、歩きながら学校へと向かった。 「おはよー」 あかねが教室に着いたときにはHRは終わっていた。 「どうしたの。あかねー珍しい」 友達がそう言いながら駆け寄る。 「ちょっと昨日、なかなか寝れなくて・・・」 そう言って、あかねは大きくため息をつくと、カバンを机の横にかけて、椅子に座った。 「あっ早乙女先生が昼休憩にでも職員室に来るようにって言ってたよ」 ドキッ その名前を聞いて、あかねの表情がかたまる。 「あかね?」 友達が不思議そうに顔を覗き込む。 「え・・・あ・・・何でもないよ。分かった」 授業が始まり、ふと校庭を見つめるあかね。 ちょうど、乱馬が体育の授業をしている姿を見つける。 その姿に、何だか落ち着かないあかね。 でも、昼休憩に昨日の誤解を解かなきゃ・・・。 誤解??・・・・。 何の??・・・・・。 そう思った自分にびっくりする。 何の誤解?私は先生に何の誤解をされてるんだっけ?? 考え始めると、分からなくなる・・・。 (あーもー!!どうでもいいや!) あかねはそう心の中で叫ぶと、そのまま机に顔を伏せた。 「こら・・・天道!」 伏せた直後、頭を丸めた教科書で叩かれる。 そーっと顔を上げると、受けていた授業の先生が怒った顔で見ている。 「あ・・・すみません!!」 あわてて、教科書を開くあかね。 クスクス・・・ でもその開かれた教科書は逆さまで、みんながそれを見て笑う。 「すみません・・・」 カーッと赤くなるあかね。 「ちゃんと、真面目に受けなさい」 先生にそう言われ、あかねは「はい」と答えて、教科書をもう一度開いた。 そして、しばらく授業を受けていると、外から乱馬の声が少し聞こえてきた。 その声に敏感に反応するあかね。 黒板を書いている先生を見ながら、チラッと校庭を見る。 授業ではハードル走で次々と走っていく生徒に、真剣に教えている乱馬の姿があった。 わ・・・やばい・・・・。 また、あの変なドキドキ・・・。 もう、考えないようにしよう・・・そう思ってあかねが黒板に目を向けようとすると、一人の女子生徒が乱馬に近づく。 何!? それを見て、また校庭の乱馬をじっと見るあかね。 何を話しているのかはもちろん分からないが、女子生徒はやけに乱馬の体に触れていた。 ムカッ・・・ 離れなさいよ!! ・・・・・。 離れなさい?? またそう思った自分にびっくりした。 もう・・・。 やだ・・・。 あかねはうつむいたまま、校庭から目を離すと、教科書で顔を隠した。 そして、昼休憩・・・職員室へ向かうあかね。 何だか足取りが重い。 「失礼します・・・」 職員室のドアを開けて、あかねが入っていく。 「おー天道」 あかねの姿を見つけて、ひらひらと手を振る乱馬。 「あの・・・遅刻してすみませんでした」 なるべく乱馬を見ないようにして、話すあかね。 「どうしたんだ?他の先生に聞いても遅刻なんて珍しいって言ってたし」 乱馬は椅子に座ったまま、下からあかねを見上げる。 「あ・・・ちょっと夜更かししちゃって・・・」 あかねはそう言うと、さらに目をそらす。 「ふーん・・・・あっそうだ弁当、預かってるぞ」 乱馬は机に置いてあった弁当をあかねに渡す。 「え・・・これ」 あかねが乱馬を見て少し驚いた表情をする。 「ああ、一番上の美人のお姉さんが持ってきてくれたぞ」 乱馬が笑いながら答えた。 「そうですか。ありがとうございます」 あかねは弁当を受け取ると、またうつむいた。 「ちょっと来い!」 そう言って、乱馬はあかねの腕を掴む。 「え??ちょっと先生!?」 乱馬に引きずられるように使われていない教室へと入る。 教室に入ると、あかねは椅子に座らされる。 「あの・・・先生?」 弁当を抱きかかえて、おそるおそる乱馬を見る。 「もしかして昨日の事を気にしてんのか?」 少し聞きづらそうに乱馬が言った。 「え・・・いえ・・・・あの・・」 あかねはまた昨日と同じで言葉が出ず、黙ってしまう。 「あの・・・悪かったな・・・何か天道がすげえ嫌がってたから少しショックでさ・・・態度悪かったよな??」 乱馬は「大人げない行動に反省した」と付け加えて言うと、軽く頭を下げた。 「ち・・・違います!!!」 その瞬間、あかねが大きな声でそう言うと、勢いよく乱馬に詰め寄った。 「うわ・・・何だよ・・・天道!」 乱馬が驚いた表情であかねを見る。 「私、先生が嫌であんなに嫌がった訳じゃありませんから!!」 あかねはそう言い終えると、我に返ったのか急にボッと真っ赤になる。そして、そのまま教室を飛び出ていった。 「何だ??」 あっけにとられる乱馬。でもすぐにクスッと笑った。 「変な奴・・・」 そう言うと、乱馬も教室を出て行った。 (続く) |