「ただいま〜」


あかねが友達との買い物を終えて、家に着く。


玄関に入ると見慣れない靴があるのに気づく。


「お客さん・・・かな」


あかねは居間を少し気にしながらも、一度自分の部屋へと向かう。


部屋に入って、鞄を置くと、制服を脱いで服を着替えて、すぐに1階へと下りる。


1階に下りると、台所でかすみが忙しそうに、御飯の用意をしている。



「ただいた。お姉ちゃん・・・お客さん??」



少し小声であかねがかすみに言った。



「あら・・・おかえり。そうなのよ・・・あかね挨拶してきたら?」



かすみがフライパンで炒め物をしながら、居間をチラッと見て言った。



「あ・・・うん」



お客さんは久しぶりで少し緊張する。



居間に入ると、すぐに頭を下げて挨拶をするあかね。



「今晩は・・・え!!??」



挨拶をしながら顔を上げると、思わずあかねが叫ぶ。



「よー天道!」



そこにはひらひらと手を振りながら、乱馬が笑いながらあかねを見ている。



「ちょっと・・・何で先生が家に!!??」



あかねは思わず、乱馬を指さす。


「こらっあかね。先生を指さすんじゃない!」



早雲がそう言って、あかねに自分の隣に座るように手で合図をする。



あかねはしぶしぶ乱馬の向かい側に座る。



「で・・・何で先生が家にいるわけ??」



あかねが早雲に聞く。



「・・・・・・・・・」



早雲が腕を組んで、汗をかきながら黙り込む。



「ちょっと!!お父さん!?」



あかねがテーブルをバンッと両手で叩いて早雲に詰め寄る。



「許嫁の天道あかねさん。ちょっと落ち着いたら??」



乱馬が頬杖をして、興奮しているあかねを見て言った。



一瞬、あかねの動きが止まる。



「はい??今、何て言いました??」



ゆっくりと動き出しながら、あかねが乱馬を見ながら聞いた。



「だから・・・俺は許嫁なわけ・・・あんたの」



乱馬が頬杖をついたまま、答える。



「お父さん・・・?」



あかねに睨まれた早雲はサッと乱馬の後ろに隠れる。



「許嫁って・・・私はそんなの認めないって言ったでしょ!!」



乱馬の後ろに隠れている早雲にあかねはテーブルに身を乗り出して、もの凄い剣幕で言った。



「お互いが認めてないんだから、この話はなかったことでいいですかね?」



そんな、あかねの様子を見て、後ろにいる早雲に乱馬が少し冷たく言って立ち上がる。



「え・・・乱馬くん!ちょっと」



早雲が慌てて、部屋を出ようとする乱馬を止める。



「天道も嫌がっていることだし・・・俺も許嫁の話は聞いたばっかりですから」



その顔と雰囲気は学校で見る乱馬とは全く違った。



乱馬はそう言って、部屋を出て、玄関へと向かう。



「あのっ先生!」



玄関で靴を履いている乱馬にあかねが駆け寄る。



「なに?」



乱馬が靴を履いて、立ち上がった。



「えと・・・・」



あかねが言葉に詰まる。



呼び止めたものの、何を言っていいか分からないあかねは下を向いたまま黙ってしまう。



「天道・・・」



困ったあかねを見て乱馬が名前を呼ぶ。



呼ばれて顔を上げるあかね。



顔を上げたあかねの髪を手でくしゃくしゃっとして乱馬が笑った。




「ちょっと・・・先生!?」




髪を押さえて、あかねが乱馬を見る。




「また、明日な」



乱馬はそう言って、玄関を出た。



玄関の戸が閉まると、あかねはそのまま床にペタンと座る。



乱馬にくしゃくしゃにされた髪をゆっくりとなおす。



その手が震えているのが自分でも分かった。



あの時、先生を呼び止めて私は何を言いたかったんだろう・・・。



あかねは部屋に戻ってからも、なかなか寝付けなかった。








(続く)