夏も終わりに近づき、戦国時代はもう肌寒い季節になった。




「今日はここに泊めて頂きましょうか・・・」




弥勒が大きな屋敷を見つけて言う。






「また騙すのかよ・・・・」




犬夜叉が少しぶすっとして言う。





「騙すなんてひどいですね・・・・人助けですよ、人助け」





そう言って、弥勒は屋敷の中へ入り家主と何やら話をしている。





「まあ野宿しなくていいのは助かるけどね」




珊瑚が家主と話している弥勒を見ながら言う。





「まあ、確かにそうだけど・・・・」



かごめは寒いのか七宝を抱っこしながら言った。










話が終わったのか弥勒がこっちに向かってくる。






「泊めていただけるみたいですよ。さっいきましょう」





ニコッと弥勒が笑う。





みんなも弥勒へ続いて屋敷へと入っていく。







「ったく調子がいいな」




犬夜叉はブツブツ言いながらも屋敷へと入る。










「さっどうぞ。ちょうど夜御飯の支度もできております」




そう言って家主が案内する。






「ぷはーうまいのー」




七宝は出された夜御飯をたらふく食べて上機嫌だ。





「犬夜叉は食べんのか??」



七宝が犬夜叉の御飯を狙っている。





「ったく、よく食べるな。俺はいらねえから食べろよ」




犬夜叉が呆れ顔で言った。





「いいのかーじゃあもらうぞ」




七宝はがつがつと食べ始める。






「弥勒様は?」




かごめが御飯を食べながらさがす。






「いちを妖怪退治に行ったよ」




珊瑚が言った。








「本当に妖怪いるのかしら・・・」



かごめがポツリと言った。









「やれやれ、やっと終わりました」





そう言いながら弥勒が部屋に入ってくる。








「弥勒!本当に妖怪なんていたのか??」




七宝が不審そうな目で見る。






「失礼ですね・・・ちゃんと退治してきましたよ」





弥勒は座って御飯を食べ始める。







「俺は先に寝るぜ」





犬夜叉はそう言って、部屋を出て行く。






「何か犬夜叉、最近変だよね・・・・」




珊瑚がぽつりと言った。






「うん・・・・・」




かごめは犬夜叉が歩いていった方を見ながらコクっとうなずく。









「どうしたんでしょうね・・・・わたしも変だと思っていましたよ。私達を避けているというか・・・一人になりたがっているというか・・・・」





弥勒がお茶を飲みながら、言った。






「まあ、犬夜叉が話すまで待ったほうがいいでしょうね・・・・聞いて答える性格ではないでしょう。さっ今日は寝ましょう」



弥勒はそのまま立ち上がって、部屋を出た。







「私達も寝ようか」




珊瑚が隣の部屋に用意された布団を敷きながらかごめに言った。






「うん・・・そうだね」





かごめも珊瑚と一緒に布団を敷く。








そして二人は布団に入る。









なかなか寝付けないかごめ・・・。







横を見ると、珊瑚はスースーと寝息をたてて寝ている。






少し庭をまわってみようかな・・・・。





かごめはそーっと布団を出て、屋敷の庭に出る。





今日は満月。月明かりが庭の木々を綺麗に彩る。





かごめは縁側に座って、月を眺める。






ガサッ




木の上から音がする。





「だ・・・誰??」






かごめがバッと立ち上がる。






「・・・俺だよ」





犬夜叉が木の上から軽やかに飛びおりる。






「犬夜叉・・・」




少しホッとするかごめ。






「どうした?こんな夜更けに」




犬夜叉がそう言いながら縁側にドカッと座る。




かごめは黙って犬夜叉の横に座った。






「何かあったのか??」





犬夜叉が、かごめの表情を見て心配そうに聞く。






「え?・・・・ううん・・・・何でもないよ」






かごめはそう言って月を見る。





「・・・・犬夜叉・・・・」





「何だ??」






かごめに呼ばれ、かごめを見る犬夜叉。







「・・・・・桔梗のこと、まだ好き?」





かごめは月をじっと見つめながら言った。






「な・・・何だよ・・・いきなり」




犬夜叉は少しビックリしている。




そして黙ってしまう・・・。







かごめはそんな犬夜叉をちらっと見てまた月を見ながら考える・・・。



桔梗は私達の前からいなくなった・・・。



犬夜叉の腕の中で最後に微笑んで・・・・。




でも桔梗は犬夜叉の心の中できっと生き続ける・・・・。






それが悪いとは思わない。私も桔梗を忘れる事はない・・・。








けど・・・・・





私の気持ちが育ちすぎてしまった。



すでにいない桔梗にまで嫉妬している。






「かごめ・・・??」





月を見たまま動かないかごめに犬夜叉が名前を呼ぶ・・・。






やっぱり答えないんだ・・・・。





かごめは心の中でそう思いながら目を閉じる。







「もう、いいよ・・・」




がごめはそう言って、その場を離れようとする。






「お、おい!!」




犬夜叉がとっさにかごめの腕を掴む。





「離して!!」




かごめはキッと犬夜叉を睨む。






こんな態度をとりたいわけじゃない・・・でも嫉妬がそうさせる。




かごめは自分自身が嫌になる・・・・。






「離して・・・・お願いだから・・・」




かごめが今度は冷静に言った。







「・・・・俺は・・・桔梗を忘れる事はねぇ・・・けど好きとは違う・・・」





犬夜叉がかごめの腕を掴んだまま言った。








「そう・・・・・。ごめんね・・・・ちょっとイライラしてて・・・・」





かごめはそう言って黙ってしまう。






どうやったら、この気持ちを・・・・この汚い心を流せるんだろう・・・。



かごめはそう思うと涙が止まらなくなる。







「おいっ・・・・かごめ?」





犬夜叉が少しオロオロしている。







「・・・・犬夜叉・・・・」






かごめはギュッと犬夜叉に抱きつく。






「え・・・??おいっ」





犬夜叉はどうしていいか分からず、自分に抱きついているかごめを見る。






温かい体。



犬夜叉の優しい匂い。



こんなに近くにいるのに、犬夜叉が遠くにいる感じがする・・・・。





「もう少しこのままでいい・・・?」




そう言ってかごめはもう一度、ギュッと抱きつく。





この気持ちはどうしたらいいの・・・・・。



犬夜叉の心は振り向いてくれないの??




かごめの心が痛む。





その時、優しく犬夜叉がかごめをギュッと抱きしめる。





「何か、よくわかんねえけど、傍にいて落ち着くならいてやるよ」





そう言って少し照れくさそうに言う犬夜叉。





「ありがとう・・・」





その表情を見て、かごめの心が少しだけ軽くなる。




いつか・・・




私を心から好きになってくれる・・・??






そう心の中で思いながら、犬夜叉の胸の中でかごめは目を閉じる。










(終)