誰もいない教室で二人は何も言わずに抱き合ったまま、お互いの鼓動を感じていた。



ザーザーと雨の音が教室に響いている。






「犬夜叉・・・?」





かごめがいつもと違う犬夜叉に少し戸惑っている。







「あっわりぃ・・・」




犬夜叉はかごめの声にハッとしてかごめから離れる。







「何かお前が悲しそうな顔してたから・・・・何かあったのかと思って・・・」





犬夜叉はかごめの赤い目を見ながら頬に優しく触れる。







「え・・・ううん。何もないよ。ただ・・・・・犬夜叉の事を考えてた・・・・」






かごめはそう言うと、少し表情がまた曇る。








「俺のこと・・・?何か、またかごめを傷つけたか?」






犬夜叉は少しおろおろして聞く。








「違うわよっ」






そんな犬夜叉の様子を見てクスッと笑うかごめ。










「でも、悲しそうだったぞ・・・・」







そう言った犬夜叉の表情は少し淋しそうな表情をしている。








「・・・・あのね。奈落を倒したらどうなっちゃうんだろうって・・・」








かごめはそう言いながら、犬夜叉の手の上にそっと自分の手を乗せる。









「奈落を倒したら・・・?」








犬夜叉がかごめを見る。









「うん。離れ離れになっちゃうのかなって・・・・。そう思ったら淋しくなっちゃって・・・」






そう言って笑うかごめの顔は、犬夜叉には今にも泣きそうな顔に見えた。








「あのさ・・・・俺さ・・・ここに来るまでに色々考えてた。これからのこと・・・」







犬夜叉は自分の手に乗せられているかごめの手をギュッと握った。









「これから・・・のこと?」







かごめの表情が一気にかたまる・・・。









「俺さ・・・」






犬夜叉が自分の想いを伝えようとする。








「まって!離れるとか・・・そんな話だったら聞きたくないからねっ」







かごめは泣きそうな表情で犬夜叉を見る。









「ばーか・・・ちゃんと聞けって」








犬夜叉はそんなかごめを見て、もう一度かごめの手を握りなおす。








「俺さ・・・・お前と生きていきたい」







犬夜叉はそう言って、かごめを真剣な目で見た。









「え・・・・・??・・・・」







かごめはびっくりしまま、言葉が出ない。









「ったく、だからお前の傍にずっといたいって言ってんだよ」








そう言いながら、犬夜叉は真っ赤になる。






その言葉を聞いて、かごめの体から一気に力が抜ける。







「犬・・・夜叉〜・・・・・」







かごめの目からポロポロと涙がこぼれる。










「おいっ・・・・泣くな!・・・傍にいていいのかよ、駄目なのかよ!」







犬夜叉は泣いているかごめに聞く。









「ばかー・・・・駄目なわけないじゃない・・・・」






かごめは泣きながら言った。








「ばか・・・泣くなって」






かごめをギュッと抱きしめて、自分の想いを伝えられた事、それを受け入れてくれた事にホッとする犬夜叉。












「ねえ・・・これってプロポーズ・・・?」







かごめが顔を上げて犬夜叉を見ながら言った。








プロポーズ・・・・って確か・・・・。






弥勒が珊瑚に想いを伝えている時に、かごめが言ってた言葉・・・。






その後に、その言葉の意味をかごめに聞いた事を思い出す・・・。










「ばかっ、いちいち聞くな!」





犬夜叉がカーっと赤くなる。





「違うの・・・?」






かごめが少し不満そうな顔をしている。









「あのな〜・・・一緒に生きてくって事はそういうことだろっ」







犬夜叉はそう言って、真っ赤になったまま、ふいっとかごめから顔をそむける。








「も〜はっきりしないんだから・・・・」






かごめは不満そうに言いながら犬夜叉の胸に顔をうずめる。




でも、犬夜叉の胸の中で、かごめの表情は満面の笑顔だった。









「約束だよ・・・。犬夜叉」





かごめが犬夜叉の背中に手をまわしてギュッと抱き返す。






「ああ・・・・。お前の傍にいる」







犬夜叉も微笑んでかごめを抱きしめた。








降っていた雨は、いつの間にかあがっていた。






二人はゆっくりと離れる。






「・・・・帰らならいとな・・・」







犬夜叉が優しく微笑みながら、かごめの手をひいて席を立つ。







「うん」







かごめもニコッと笑う。









何だかくすぐったい気持ち。










二人はそのまま手をつないで家路へと向かった。












犬夜叉・・・・・・。






絶対に・・・いなくならないでね・・・・。






私の傍から離れないでね・・・・・・。









かごめはそう心の中で思いながら、犬夜叉の握っている手を見た。







雨上がりの夕日はとても綺麗で、その光は二人を温かく包み込んでくれているようだった。








(終)