ピピピ・・・ 目覚ましの音に、机に座ったまま眠ってしまっていたかごめは飛び起きる。 「あのまま寝ちゃってたんだ・・・・」 軽く伸びをすると、ベッドへと移動した。 今日は学校もないし、あっちの世界にも行かなくていい・・・。 みんな、今頃なにしてるかな・・・。 たまには帰ってゆっくりしてきていいよと言われ、こっちに帰ってきたものの、みんなのことはやっぱり気になる。 かごめはガバッと起きあがると、井戸へと向かった。 「よし・・・」 かごめは勢いよく飛び込む。 そして、井戸をゆっくりと上り始める。 あれ・・・犬夜叉いないんだ。 いつもは、すぐに匂いで気づいて来てくれる犬夜叉の姿はない。 「どっか行ってるのかな・・・・」 かごめはそうつぶやくと、村へと向かう。 「あ・・・かごめちゃん、どうしたの・・・?」 珊瑚がかごめの姿を見つけて、かごめに駆け寄る。 「いや・・・何か気になっちゃって・・・・」 かごめはチラチラと周りを気にしながら言った。 「そうなんだ。朝ご飯、食べた?私達は今からなんだけど一緒に食べる?」 珊瑚がニコッと笑って聞いた。 「え・・・うん。珊瑚ちゃん・・・あの犬夜叉は・・・?」 かごめが少し聞きづらそうにボソッと言った。 「え・・・ああ。犬夜叉なら・・・」 珊瑚がクスクスと笑い始めると、かごめを手招きして、楓お婆ちゃんの家に連れて行くと、外からそっと覗き込む。 「何で俺がこんな事しないといけねーんだよ!」 犬夜叉の怒鳴り声が聞こえる。 「いいじゃないですか。似合ってますよ」 弥勒が犬夜叉をなだめながら、楓を手伝っていた。 「しょうがないじゃろ・・・寸法が分からんでな・・・ちょうど、お前と同じくらいの背丈なんじゃ」 楓はそう言いながら、縫い始める。 「村の女の人の旦那さんになる人が、薬を買いに遠くまで出てるらしいんだ・・・それで帰って来た時に、式を挙げるみたいでさ・・・そのお祝いに着物を渡したいらしくて犬夜叉が同じくらいの背丈だからさ犬夜叉に合わせて作ってるんだよ」 珊瑚はぶすっとした犬夜叉の表情を見て、クスクスと笑いながらかごめに言った。 「そうなんだ・・・」 いつもと違う犬夜叉に、自然と鼓動がはやくなる。 「かごめ様ではないですか!」 弥勒が二人に気づくと、家の中へと手招きする。 「え・・・かごめ!?こらっ入ってくんなよ!」 犬夜叉は恥ずかしそうに、怒鳴る。 「いいじゃない・・・すごく似合ってるよ」 かごめはニコッと笑う。 犬夜叉はカアッと赤くなると、ぶすっとした表情をして顔を背けた。 「お・・・そうじゃ・・・かごめも着てみるか??」 楓はそう言うと、真っ白な着物を取り出す。 「うわ・・・綺麗・・・。でも、これは式を挙げる人のでしょ?」 かごめは手に取りながら、楓に言った。 「安心せい・・・それは私の着物だ」 「え・・・・」 一瞬、沈黙が続く・・・・。 「なんじゃ?どうした??」 楓は不思議そうにみんなを見る。 「いえ・・・なんでも・・・・」 「では、かごめ様・・・着てみては?珊瑚に着せてもらって」 弥勒はそう言うと、珊瑚にかごめの着付けを頼んだ。 「そうだね。かごめちゃん!来て!」 珊瑚は嬉しそうに、かごめを連れ出した。 「ついでじゃから、今日お前達、式を挙げたらどうじゃ??」 楓が意地悪そうに犬夜叉に言った。 「んなっ!!何言ってんだよ!!変なこと言うな!!!」 真っ赤になっている犬夜叉を二人は笑いながらからかう。 少しすると、珊瑚が嬉しそうにかごめを連れてきた。 「見て!すごい綺麗!」 そこには、真っ白な着物を着て、髪をまとめてあげている、いつものとは違うかごめの姿があった。 「変じゃないかな・・・」 かごめは恥ずかしそうに犬夜叉に聞いた。 「べ・・・別に・・・」 犬夜叉は赤くなって目をそらす。 「あ・・・珊瑚ちゃん!お願いが・・・」 かごめは珊瑚にカバンから取り出したカメラを手渡した。 「何?これ・・・」 少し説明をすると、犬夜叉の隣に並んで腕を引き寄せる。 「お・・・おいっ!」 「いいから、ちょっとでいいから、珊瑚ちゃんが持っている物を見て」 かごめにそう言われて、しぶしぶカメラを見る。 「押すよ!」 珊瑚はそう言うと、二人の姿を写す。 「ありがとう。みんなも撮ってあげるね」 かごめは珊瑚からカメラを受け取ると、みんなと一緒に撮り始める。 写真を撮りながら子供のようにはしゃぐかごめを見て、犬夜叉は優しく微笑んだ。 「何、ニヤニヤしとんじゃ?気持ち悪いのー」 七宝がそんな犬夜叉を見て、からかう。 「こらー七宝!」 犬夜叉が七宝を追いかけ回す。 こうやって、みんなと笑い合える日々はいつまで続くか分からない。 だから・・・この笑顔を残したい・・・・。 かごめは写真を撮りながら、そんな事を思っていた。 犬夜叉ともいつまでいれるか・・・。 かごめは犬夜叉にカメラを向けてレンズ越しに見つめ続ける。 時々、見せる笑顔にかごめも思わず微笑む。 ずっと、このまま笑い合っていきたい・・・・。 「みんなで撮ろ!」 かごめはそう言って、みんなの中へと走っていった。 何があっても、絶対に一緒にここに帰ってこよう・・・。 絶対に・・・・。 (終わり) |